豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

睡眠時無呼吸症候群と不眠症の合併

ベルソムラ(™)について過日投稿したところ、「ベルソムラ」「睡眠時無呼吸症候群」の2ワードで検索をされ、私のサイトを閲覧してくださった方が居たようです。

推測するに、不眠症であると自覚されている患者さまであって、睡眠時無呼吸症候群の診断もしくは治療を受けられている、そういう方が、ベンゾジアゼピンもしくは非ベンゾジアゼピン系の睡眠薬の内服が適切ではないと勉強されていての悩み事なのではないかと思います。

で、どのように投稿しておくか、頭を整理しますと。

睡眠時無呼吸症候群自体が、夜間頻発する無呼吸のたびに低酸素血症をきたしている状態。その状態では低酸素が原因で深い眠りにつけないわけです。低酸素になるたびに覚醒してしまう。自覚していても、していなくても夜中何回も眠りを妨げられて起きてしまう。(そのことで、夜充分な時間横になっていても、実は睡眠不足なのであって、結果、日中の眠気の原因になる。)

この夜間の覚醒が起こっているときに、オレキシンがどういう動態をとっているのかは、専門的な話で、一般臨床の医者の私には、すぐに答えはみえません。また、オレキシン受容体拮抗薬の投与の是非についても、検討課題です。「宿題」というべきかな。

ベルソムラの添付文書では、

臨床薬理試験(外国人データ)の(2)として、

軽度から中等度の慢性閉塞性肺疾患(COPD)患者25例又は軽度から中等度の閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)患者26例に、本剤(日本人への投与量の倍量)を4日間反復投与したとき、明らかな呼吸抑制作用はみられなかった。なお、重度のCOPD患者及びOSA患者では検討されていない。

とし、重度の呼吸機能障害を有する患者については「慎重投与」としています。

原則は、睡眠時無呼吸症候群自体が、広い2次性の不眠症の原因の一つであるから、まずは、睡眠時無呼吸症候群の治療管理を優先してください。夜間の低酸素についてのコントロールがついたら(その判定には睡眠時無呼吸症候群の専門外来の病状評価が必要か)、ベルソムラ等の新規不眠症治療薬を応用するとよい。そういう結論で今日は投稿しておきます。