豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

内科の開業医として、避けてとおれない話題として、通院患者さんの骨粗鬆症への対応があります。骨粗鬆症は、骨折を機に治療が始まることが多いのですが、できたら、内科医が症状のまだ無い骨粗鬆症の対策を開始すべきだろうと考えます。50歳を過ぎた女性にとって、骨粗鬆症は、自覚症状がないまま進行するリスクをもった病気と言えます。

60歳台女性の三人にひとり、70歳台女性の二人にひとりは骨粗鬆症と言われています。症状がなく自覚されていない患者様もかなり多いと想像します。区の骨粗鬆症検診の報告を受けたあとに、またそれとは別に。精密な検査と治療をめざして、当院では骨粗鬆症への対応能力を強化しました。

早期に骨粗鬆症(背骨と大腿骨)の精密検査を受けることの意義

骨粗鬆症の早期発見というと、思いうかぶのは、区が提供する無料の骨粗鬆症検診です。区の健診は、5歳きざみで、70歳まで行なわれます。それ以降の年齢については、無料の健診はありません。

また、豊島区の骨粗鬆症検診は、たくさんの区民を簡便短時間にチェックするために、腕の骨密度を測ります。座ったまま腕まくりをするだけで、とにかく早く終わる。しかし、年齢をかさねたときにより問題が生じるのは、背骨の骨粗鬆症(圧迫骨折という背中の痛みが突然生じる病気の原因です)であったり、大腿骨の骨粗鬆症(大腿骨骨折という入院手術が必要な病気)であったりします。腕の骨折は、転倒などが無いかぎりはありませんね。

そして、検診でみる腕と、背骨、大腿骨、それらの骨粗鬆症の進行度は、思ったほど一致しないのです。区の検診で行なう腕の骨密度測定は、あくまでも骨粗鬆症の可能性があるかないか、「ひろいあげ」の検査だと思って下さい。骨粗鬆症の正確な診断と治療対策には、精密検査としての背骨と大腿骨の骨密度検査がたいへん重要です。

区の骨粗鬆症検診で骨密度低下の傾向があった人、また、50歳以降で5歳きざみの検診対象年齢以外の人、70歳以降の高齢者、それらの患者様に背骨や大腿骨の精密検査をすすめます。

ひとつの尺度として、伸長が若い頃の最大の伸長から女性で4センチ(男性で2.5センチ)縮んだ頃にすでに立派な骨粗鬆症が指摘できるとされています。その時点では背部痛などはまだ無いことも多いでしょう。

背中が痛くなったり骨折をしたりして受診した時点、そういう進行した時期から骨粗鬆症が治療されることが、いままで多かったように思います。これからは、早期に骨粗鬆症をみつけて、予防、治療を始められることを奨めます。

公社大久保病院とタイアップし、わかしま内科の紹介で、予約なしで背骨と大腿骨の骨密度精密検査(DXA法)が受けられる連携体制をつくりました。

背骨、大腿骨を測定する機器が思いのほか普及していません。また大学病院などに採用されていても、予約日を決めて計画的に検査に行くことなど時間的な負担が多かったように思います。今回、新宿区の保健医療公社(旧都立)大久保病院との約束から、予約なしで検査を済ませてくださることになりました。わかしま内科からの紹介状と保険証を持参して月曜から金曜のあいだ、ご都合の良い日に予約なしで大久保病院に行ってください。検査費用は、3割負担で3000円程度、1割負担なら1000円程度です。GE製の優れた機器での検査であり放射線被爆量も少ないです。

診察室で、院長、副院長が説明し、大久保病院あての紹介状を発行します。是非、ご相談ください。

院内掲示のポスターの画像へのリンクを貼りましたので、ご覧になってください。

骨密度検査(患者さん配布用)