豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

今回アップするブログが今年の始めから温めてきた、わかしま内科オリジナルのアイデアです。

消化器癌のなかでは、胃癌、大腸癌、は対処しやすい。一方、膵癌、胆道癌、の早期発見治療はむずかしい

前回のブログで胃癌、大腸癌について触れました。復習すると、1)胃癌はまず、ピロリ菌の検査。ピロリ陽性であったなら、定期的に胃内視鏡検査でフォローすること。内視鏡(胃カメラ)は、その術者、検査を行なうドクターを選べば、まったく苦痛の無い、安楽な検査ですので誤解を解いてください。  2)大腸癌はまず、便潜血を行なうことに尽きます。便潜血陽性であれば、これも苦痛無く検査を行なうドクターを選んで、大腸カメラを受けてください。

胃癌、大腸癌、はそれぞれの対策で、命を落とすようなタイミングまで進行させずに治療可能です。

一方で、誰が発症するか絞り込めない、誰が発病してもおかしくない癌。便潜血のような簡単な一次検査を設定できない、CTやエコーなどの画像診断を行なったところで、なかなか早期の診断、手術治療などを行なって完治できる発見に結びつかない傾向の消化器癌があります。その代表が膵臓癌であり、胆道癌です。

膵臓癌は先日、歌舞伎の坂東三津五郎さんの逝去の報道もあって、今ホットな病期になっています。膵臓癌は特に早期の発見がむずかしい。黄疸や腹痛、背部痛などの有症状になっての診断では多くは進行癌です。また、検診の画像診断でごく小さい腫瘤をみつけて診断したも、なお早期の癌とは言えないことの多い癌です。

私も消化器医として、もう30年近いキャリアになりますが、本当に早期と言える膵癌を診断し治療した経験がほとんどありません。最近近隣のドクターに「新しい技術を導入するつもりだ」と話したら、「先生、膵癌はダメでしょう。偶然膵癌になったら、それは運が悪かった、って言うしかないでしょう」と返事をされました。それが従来の普通の考え方です。

何が問題か、と言うと。まず、画像診断の限界。画像診断が進歩したといっても、過去1センチ、2センチで診断したものを医療機器の進歩で5ミリで診断するようになった、そうだとしてもなお、5ミリで充分早期の診断かというと膵癌はそうはいかない。画像診断の現状最先端は胃カメラの先端に付けた超音波診断装置で胃の壁からエコー検査をやること(EUS)なんだと思いますが、私はそのエキスパートではないのだけど、これでどれくらい早期の膵癌を見つけることができるかどうか、チャレンジの最中だろうと思います。全身PET検査でごく小さい初期の膵癌を見つける事が期待できるか?たぶんダメだと思います。

また、検出率が充分に高く、かつ小さい膵癌でも陽性になる、優れた腫瘍マーカーは、膵癌についてはまだ知られていません。残念ながら、無症状の段階での簡便な膵癌の検出検査は存在していなかったと考えます。

膵癌、胆道癌の早期発見の一番の手段 マイクロアレイ血液検査

昨年来、膵癌の発病や膵癌での訃報を自分の周囲で、また報道等で聞くことが何例か続き、なにか解決策はないのだろうか、消化器内科出身者として新たに採用し取り組む手法はないのだろうか?そういう思いであれこれ検討してきました。胃癌、大腸癌がその高リスク者の絞り込みや便潜血陽性者を精査することで半ば対策が完成している。それに比べて、膵癌等は早期発見がされていない。検診等で皆さんが身を守る手だてについて、私たち医療サイドからは提案がなされてきていないわけです。「膵癌になったら、不運だったと諦めてください」のままでは困る。一方で、何とも言えないような確実性の低い予想や予告「あなたは膵癌に将来なるかもしれないから気をつけましょう」でも、困る。なぜなら、気をつけると言ったところで具体的な提案、気をつける方法、何をしたらその将来の癌の発病の可能性を減らすのか、癌の発病を抑制する確かな方法など未だに見つかっていないのだから。

確実に癌を発病している事を早期に診断し教える検査が欲しい、しかし、癌でない人に癌の恐れを意味なく植えつける、あるいは癌と誤診するような検査はダメです。決してそのような検査を皆さんに受けさせるわけにはいかない。

現時点で、一つの答えをみつけました。消化器癌を早期に診断する、マイクロアレイ血液検査。開発した(株)キュービクスの学術担当者ににお願いし、まだ北陸新幹線が開通していない2月に金沢から説明に来てもらいました。科学的な有用性の証明は、優秀な教授がおられる金沢大学の消化器内科が担当されています。胃癌、大腸癌、膵癌、胆道癌などの消化器癌について、一度の採血検査で信頼性の高い診断ができるのがメリット。

マイクロアレイ血液検査は、血液がささやく「確かな癌の目撃証言」

マイクロアレイ検査でポジティブ(陽性)の判定の人をアレイ検査(+)、ネガティブ(陰性)の判定結果の人をアレイ検査(ー)と表現するなら

現在の医学的手法(内視鏡、CT他の画像診断、など)で胃癌、大腸癌、膵癌、と診断がされた患者では、全員(100%)がアレイ検査(+)。
すなわち、現在の医学的検査での3つの癌の診断にアレイ検査が劣る可能性はゼロ。むしろ、それよりも早いタイミングでの癌の診断発見をアレイ検査には期待できる。

一方で、現在の他の医学的手法で胃癌、大腸癌、膵癌、の診断がされていない患者では、その87%がアレイ検査(ー)。
このことの意味は、3つの癌の診断に至る可能性のない非癌患者をアレイ検査(+)として不安にさせる頻度は少ないということ。この点は少し微妙というか、意味を説明しずらい部分です。私は「他の(主に免疫の異常をきたす)病気があってアレイ検査(+)」とか「胃癌、大腸癌、膵癌の3つ以外の癌がからだのどこかにあるからアレイ検査(+)」とか「現状の医学検査が指摘できないそれころミクロの胃癌、大腸癌、膵癌のいずれかが存在するからアレイ検査(+)」などが含まれることになると考えています。

マイクロアレイ検査とは、実際なにを調べていて、どうして癌の早期発見に役立つのだろう?そのあたりの話を続けてしないと、説明不足だと思います。続けて次回のブログで投稿します。