豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

インターネット検索のキーワードとして、「ハーボニ」についの情報を求めて私のブログに来られるかたが多いようです。ハーボニの発売に先行して、5月の末からソバルディ錠が保険適応になりました。今日はその話を少しします。

グループ2のC型慢性肝炎については、1990年台のインターフェロン治療の黎明期から、グループ1に比べてインターフェロンがよく効くことが知られていました。さらに、インターフェロンとリバビリンが併用可能になってからは、その治療成績、この2剤を6ヶ月投与したときに肝炎ウイルスを全滅させる確率は80%を上回るようになり、それ故、すでにたくさんのグループ2の患者さんは既にウイルスを排除することを達成しています。

でも、1割以上の患者では1回の治療で成功に至っていないし、また、副作用が著明で治療を中断している場合は再度投与することも困難ですから、治療失敗の経験をもった患者さんは残っていました。また、何かの理由で、インターフェロンとリバビリンの2剤の投与をしていない、未治療の患者さんもおられます。

グループ2のC型肝炎ウイルスはグループ1に比べると、少し「ひよわ」なウイルスのようで、ウイルスに特異的に作用する薬剤を2剤(ハーボニのように)用いる必要はなく、ソホスブビル(ソバルディ™)とリバビリンの2剤を12週間投与することで、非常に高い著効(SVR24)率を得られます。12週間投与ができた患者では96.4%がウイルスを排除しています。

また、インターフェロンとリバビリンの併用を行なってきた現場の医者としては、今度のソバルディとリバビリンの併用のほうが、全般的な副作用の出現とそのための治療中断等の可能性が少ないことにメリットを感じています。リバビリンを使うことは共通ですから、リバビリンによる貧血の出現については、ほぼ同等でしょう。それ以外の副作用については、胃腸障害による症状、頭痛、皮膚の痒み、などがありますが、インターフェロンを併用したときに比べれば、軽微である可能性が強いと思います。

ソバルディは、みなさんが注目しているハーボニの2つの成分のうちの1つです。ソバルディについては(ハーボニでもそうなりますが)、不整脈の出現、抗不整脈薬との併用の禁忌などの特徴的な問題が指摘されていますから、その点は注意が必要です。腎臓、肝臓の機能障害の誘発については私はまだデータが不足していて、詳細を語れませんが、腎障害、肝障害が進んだ患者さんでは場合によってはソバルディの血中濃度が高くなる可能性があり、その投薬には一応の慎重さが求められると考えます。もう少し情報が増えればもう少し具体的に話せるところだと思います。