豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

診察時間の合間にサラッと、ブログ更新。

ベルソムラについての情報を求めてブログに訪れるかたが多いようです。

まずは、ベルソムラの至適な用量について。ベルソムラは、話がコジレた厄介な状態の睡眠障害、不眠症の治療に力を発揮する薬ではないように感じています。心理的な不安や焦り、興奮など問題を抱えたままで、眠るに眠れないんだ、そういう人にベストの選択ではないでしょう。それは眠り自体の問題でなく、背景の心理的な支障の解決が常に必要であり、そういった状況では、のちほど説明する悪夢などの副作用がみられやすいようです。だから、ベルソムラを多くのドクター、そういう人の主治医は勧めないと思います。

ベルソムラは、眠れない、まだ足りないといって、増量していって有効にする薬ではない、ということです。であるならば、必要な範囲で、有効でありかつ過剰でない用量を探し、その量で使うのがベストなはず。ここでの問題は、製剤が日本では15mg、20mg、の2種類なのだけど、それが本当に適切な量なのかどうか、ということが既に多くのドクターから提起されています。

私は、睡眠外来の専門医ではないので、識者ぶって語るわけにはいきません。興味があるテーマなので、自分自身に投与してチャレンジしてみた印象でしか言えませんが、私の場合は、横長な剤型の15mgを選んでカットして7.5mg相当にして内服してみました。結果、それで充分なようです。

現在発売元の製薬企業も、15mgよりも少ない量の錠剤について、再度、日本人での有用性についての検討をしているかのように聞いています。

15mgをカットするのには、アマゾンとかで1000円以下で販売されているピルカッターで充分です。ベルソムラには吸湿性があるので、カットしたあとの保存は長くしないほうがいいようですが、1晩、2晩、程度なら特に意識しないでも大丈夫なようです。

ベルソムラと悪夢

もう一つ、悪夢の副作用について。これも多くのドクターが気付いて、かつその情報が販売元製薬企業にもあげられているようです。また、素人であることを告白したうえで、私が理解するところを書かせていただきます。

従来のベンゾジアゼピンを中心とする国内販売の不眠症治療薬の多くが、夢をみさせない、夢をみる睡眠を抑制する傾向の薬剤であったので、従来の睡眠薬を内服してきた患者さんたちは、いつのまにか「夢をみない」睡眠になっていた、それが本当のところのようです。ところが、ベルソムラは夢をみる眠り、レム睡眠というのですが、それを抑制しない。これは新しい特徴です。ベルソムラに薬を変更したりすると、急に夢を見るようになります。(現状では、ベルソムラはそういうこともあって、他のベンゾジアゼピンなどの睡眠薬からの切り替えは推奨されていない、新規の睡眠薬の処方として使用する事が推奨されているのは、こういうこともあってだと思います。)

私が素人として判らないのは、夢をみること、夢をみるようになることは、眠りにとって大切なことなのか?夢をみることは、人間の脳にとって眠りの大切な要素なのかどうか?この点についての詳細な分析、専門の学者さんの見識を聞く機会がないのです。ベルソムラの発見に至った研究グループの一人、桜井先生の解説では、「夢はただのノイズでしかない」というようにされていたと思うのですが、今ひとつ納得できない。夢は脳にとって、何なのか、必要のないノイズでしかないのか。夢が脳の機能の回復やリフレッシュ、脳内の情報や神経の伝達の整理に役立っていないのか。何かスッキリしないで、「ただのノイズ」としか理解されない現況を、はい解りましたと受け入れないでいます。直感的にそう感じているだけなのですが。

ベルソムラは夢を増やすのは間違えではないと思います。特にベンゾジアゼピンから切り替えたりすれば、すぐに夢をみるようになったことを実感すると思います。問題は、その夢が楽しい、楽しめる夢かどうか、なのでしょう。いい夢もあれば悪い夢もある。「心理的な問題を抱えた」ままの人、本来は不眠自体が問題なのでなく、不眠の根底にある不安、緊張、などが本来解決される必要のある人たちは、きっと悪夢をみることになります。それをベルソムラの副作用というべきなのか、悪夢はベルソムラがマッチしていないことの証明でしかないのか、私は後者の考え方をします。

心理的問題の解決と同時にベンゾジアゼピン等を用いて不眠症をコントロールする。それが出来た段階で、ベンゾジアゼピンの減量をはかる。ベンゾジアゼピンが少量、もしくは隔日などの投与に成ったら、そのまま止める。あるいは、しっかりした睡眠習慣、睡眠時間が確保できるようになったら、ベルソムラの少量投与に切り替える。そのときに、悪夢をみないようなら、貴方は心理的問題からも開放されていることの証しである。そのことに歓びを感じていただいてよいのではないかと思います。そして、ベルソムラも減量や離脱するに至る。そういうのが理想ではないかと思います。

前回投稿、ベルソムラの適した使い方について、にリンク