豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

 

忙しさに流されて、なかなかブログが更新できていません。癌をテーマにすると、莫大な情報量になり、いつまでたっても自分が一番興味を持っている話に行き着かないし、また、ブログを読む方にとっても、何が肝心なのか判りずらくなる。ということで、表題のメジャーな癌について、まずは、広く浅く1回ブログにアップします。

レディーファーストで、まず女性について。

女性はまず若年発症の子宮癌、乳癌の自己チェックや検診を

女性の癌の特徴は、子宮癌、乳癌など、女性固有の癌があって、しかもそれが比較的若年、40歳から50歳くらいに多発すること。乳癌、子宮癌は世間の言う「癌年齢」になってからたくさん発症するわけではない、若い女性の病気であることが大切な話。自己検診が可能な乳癌への対策と、乳癌、子宮癌、のそれぞれの検診の受診を勧めます。

男性の前立腺癌は、50歳前後以降のPSA(採血)検査を

前立腺癌は女性の子宮癌、乳癌にくらべるとやや高齢での発症の傾向。採血でほとんどが診断可能であり、なおかつ無症状の時期に採血で見つければ、命懸けの病状にはならない、そこが良いところ。PSAの検診も現在では、住民検診として取り入れられています。採血でいけるので、けっこう対策がしやすい

胃癌、大腸癌、肺癌が死亡原因となる最も多い3つの癌

この3つをまずは押さえておかないといけません

胃癌は、ピロリ検査が入口です

消化器内科医の常識で、一部のみなさんの非常識です。胃癌を発症する人のほとんどは子供の時から胃にピロリ菌という細菌が住み着いて何十年も経った人たちです。ピロリ菌が関連しない胃癌は極めて少ない。だから、ピロリ菌を持っているのか?それが大切。ピロリ菌を持っていた貴方は胃癌の高リスク。胃癌を発病する候補者です。ピロリ菌は高齢者ほど持っている率が高く、若者は持っている率が低い。ピロリ検査で陰性、ピロリ菌を持っていない人は、あまり胃癌の心配を持ってこれからを生きる必要はありません。逆にピロリ菌陽性の人は、自覚症状が無くても胃癌の検診は必要です。内視鏡検査が一番良いです。胃のバリウム検査は「やらないよりはやったほうが良い」です。また、ピロリ菌の有無を知らないままに、バリウムの検診だけ繰り返し受けることも今日的には、無駄が多いと考えられます。

大腸癌は、便潜血検査が入口です

ピロリ陽性の人が候補者と言える胃癌と違って、大腸癌は誰がなるのか予測がつきません。ですから、誰が候補者と絞り込むこともできませんので、全員が候補者と思ってください。便潜血検査は、大腸癌からの出血を捕らえる間接的な検査ですが、便潜血の陽性をきっかけに大腸内視鏡検査で診断すれば、その多くを根治可能な段階で対策できます。

肺癌は、早期発見をしばしば仕損なう癌で、非常に困難なケースがしばしばです

咳や血痰といった症状をきっかけに肺癌が早期診断できるわけではありません。高リスク者を絞り込むことは?非喫煙者の肺癌もないわけではありませんが、タバコは肺癌のリスクを高めますから、喫煙者、受動喫煙者は、肺癌検診を受ける意義が大きいです。豊島区はCTスキャンを活用した精度の高い肺癌検診を行なっています。肺癌は年齢とともにその発症率が増える傾向ですから、高齢の喫煙歴のある人を中心に検診をすすめます。

最後に、腫瘍マーカー検査、人間ドックなどで勧められる全身の癌検索の画像診断(CT, MRI、PETなど)は、あまり効率のよい癌の発見手段でない事をお伝えしておきます。