今年の秋にインフルエンザワクチンの接種をするにあたり、残念な報告です。ほとんど全ての医療機関で「値上げ」の話が伝えられています。
今年の秋以降に接種されるワクチンは、従来の3価ワクチンから4価ワクチンに変更されました。販売するワクチンメーカーは「幅広いウイルスに対応できる改善されたワクチン」であると謳っています。しかし、医学の常ですが、理屈と現実が果たして一致するか、本当に優れているのかは、まだ証拠が少ない印象を私は持っています。
とにかくワクチンが2015年から変更され、それを一つの契機として、国内ワクチンメーカーが一律に値上げをしました。大人1人に接種する量の0.5mlで計算して概ね500円の値上げです。各社バラバラでなく、一律に500円値上げです。
医師たちは、「ワクチンメーカーによる談合のようなものだ」と指摘して批判しています。インフルエンザワクチンの価格に関する談合が許されるか、許されないか。このワクチンが65歳以上の高齢者に対してはオオヤケの助成金を使った「公費」による接種をする性格があり、そのことがワクチンメーカーと行政が話し合った「官制談合」のようなメカニズムを産んでいるのだろうと私は推測しています。
さて、理屈はともかく、ワクチンの原価がおおむね大人1人分で500円値上がりしてしまったのは、私たち医師にはどうにも抵抗できない事実です。それで、わかしま内科も平均的に500円値上げすることになりました。私の利益が増える訳ではないし、値上げをきっかけに接種希望者が減る事、それが2015年秋以降のインフルエンザの流行にどういう影響を与えるか心配な気持ちでいます。
「インフルエンザワクチン接種について」のページも2015年10月を前に、記載内容を直し、更新しました。