豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

ソホスブビル+リバビリンによるグループ2のC型肝炎治療についての情報です。このソホスブビルは同時にハーボニー配合錠の2つの成分のうちの一つですから、ハーボニーの投与を希望されている患者さんも参考にしてください。

  • まず、グループ2のC型肝炎治療薬として。リバビリンとの併用であることから、従来から知られている貧血の副作用は多かれ少なかれ必ず出現する。リバビリンの治療上の有効性がこの併用療法の著効率に大きく影響している。リバビリンの減量、中止基準は無視できないルールではあるが、さりとて著効を期待できなくなるような「へっぴり腰」のリバビリン少量投与では併用の意味がない。使える範囲でリバビリンをしっかり投与するのが必須であるから、患者の自覚的副作用を巧みに聞き入れつつ、「ギリギリのところですから、リバビリンの用量をもう少し維持しましょう、いっしょにがんばってください」というタイプの汗を流してくれる主治医がまさに良医であることを知っていてください。(貴方の主治医に替わって伝えます)
  • リバビリンが充分に使用できたときの著効率はかなり良いものが期待できる。未治療例で97.6%、既治療例で94.7%という第3相試験に近い成績が一般的に得られるものと想像している。ソバルディ、リバビリン、それぞれが正しく処方されたとおりに服用方法が守られて内服されることが必要であり、外来医には患者の服薬状況の監視の意識が必要。また患者には、処方時の服薬方法の遵守を約束していただく必要がある。

 

  • ソホスブビルの慎重投与、禁忌について。ソホスブビルが腎排泄性であることから、腎障害の進展した患者への投与は認められていない。eGFRという腎機能指標が30に満たない患者や透析患者への投与は行なえない。併用薬については、リファンピシン、カルバマゼビン(テグレトール)、フェニトイン(アレビアチン)、セイヨウオトギリソウ、との併用が禁忌。
  • アミオダロン(アンカロン™)との併用におけるアメリカでの心停止の報告、また、日本国内のハーボニー™(ソホスブビル+レジパスビル)の臨床試験でも1例の心停止例があること(国内例はアミオダロンとの併用ではない)から、心合併症のチェックには留意が必要と思われる。ハーボニーの国内臨床試験の評価を行なった医師は他の心疾患合併による心停止でありソバルディ等の投与との因果関係を認めなかった、そう結論付けているが、それで良いのか、慎重であるべきだ。心電図で少なくともQT延長など不応期延長の所見やQRS幅の広い所見などを有する患者などへの投与は当面慎重であるべきだろう。

 

  • 一般的副作用について。悪心や口内炎などの消化器症状、鼻咽頭炎(風邪症状)、倦怠感や頭痛、皮膚の痒みなどが低い頻度で見られることがあるが、投与の中止に至るだけのものではない。高ビリルビン血症(黄疸)の出現は3%弱でありかつ一過性とされているが肝臓の余力が低い患者では注意する必要がある。

 

  • 高齢者への投与について。極端に合併症が目立つ患者では、副作用出現の頻度も増すことが予想され留意が必要だが、年齢によって処方が困難になることは普通ない。高齢者といえども、残る人生がまだ充分に長いことが予想されるならHCVの排除の意義も多いにみとめられる。