豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

ギリアドのインターフェロンフリーのC型肝炎治療の承認、保険適応の取得がだんたんと近づき、一部新聞がその見通しを掲載したことから、私のブログにもたくさんのアクセスが見られています。

昨年9月に始まった最初のインターフェロンフリー治療、ブリストルマイヤーズ社の処方よりも、効果と副作用の頻度などからみて、より優れる治療とみられ、おおいに期待するところです。また、ギリアドが今年中に日本国内での承認を手に入れるのは、従来の1型ウイルスへの投与だけでなく、2型ウイルスへの投与法もあり、この2種類のウイルスへのインターフェロンフリー治療が出そろうことになります。

副作用の出現頻度の少ない、優れた治療であると紹介してきていますが、1型、2型、いずれの治療でも、ギリアドの場合はソフォスブビルという成分を含む投薬内容になります。既にアメリカでは実際の臨床としてソフォスブビルが昨年から使われていますので、先行するアメリカでの投与経験からくる臨床情報が、今年からの日本での投与に対してよい参考になります。

ブリストルマイヤーズの治療は昨年9月に世界発として日本でスタートしましたので、発売元メーカーも、多数例での副作用等の情報を持たず、また、メーカーと治験医師たちの協力体制も不足していたのか、私たち臨床の医師への情報提供は遅遅としており、歯がゆいものがありました。

ソフォスブビルと循環器薬の併用でみられた徐脈、心停止

新たに、アメリカから伝わってきた副作用の情報。頻度が少ない副作用は、発売後の臨床使用から初めて指摘されるようになり得ます。

アオミダロン(商品名としてはアンカロン™)という不整脈治療の内服薬との併用で、著明な徐脈の出現、1名では心停止による死亡、がアメリカで報告されました。

アオミダロンそのものに徐脈の副作用が知られており、それを含めて重大な副作用を生じ易いので、アオミダロンそのものの投薬については、他の不整脈治療薬が無効でかつ治療上の必要性が高いときに限って使用されたい、そういう注意が喚起されている薬剤ですので、C型肝炎の患者さんでアオミダロンの投与を受けているかたは稀だと思います。しかし、薬剤の副作用の報告というのは、このようにして後から広く知られるようになるものがあるのだということは、軽んじられない事実だと思います。

ギリアドの処方には、従来は重大な副作用への注意喚起はありませんでしたし、今回の併用での副作用も、一般に日本の患者さんたちに今年以降に投薬するときの大きなハードルにはならないでしょう。

ソフォスブビル単独での同様の副作用出現の指摘はありません