豊島区、千川駅近くのわかしま内科のブログです。

C型肝炎のウイルスの発見、診断法の確立から20年が過ぎました。また、インターフェロン治療が健康保険で行なわれるようになったのは、1992年と記憶しています。インターフェロン治療は同時に使用する併用薬の発売など順次改良されて、今日に至っています。インターフェロン治療を行なえば、80%以上患者でC型肝炎ウイルスを退治できる時代になったのはまことに嬉しい話です。

しかし、「インターフェロン治療を行なえば、80%以上患者でC型肝炎ウイルスを退治できる」という文章には、忘れてはならない従来の治療の不足点があります。

インターフェロン治療を行なえない、行なうことに困難を伴う患者さまがいらっしゃったことです。

高齢である、他の身体合併症がある、インターフェロン投与が適さないうつ病である、そのほか、様々な理由で他の内服や注射での治療を受けるしかなかった皆さんにとっては、インターフェロン治療に替わる新しい治療が待たれていたわけです。

2014年の9月から、インターフェロンを使わない内服薬2剤だけの治療(インターフェロンフリー治療)が健康保険で行なえるようになりました。内服薬2剤(ダクルインザ+スンベプラ)を24週間内服したときの治療成績は、約85%でウイルスを退治できる、その点では、最新のインターフェロン治療と同等の成績です。事前の採血で退治できそうなウイルスかどうかの遺伝子検査もできますから、その判定ののちであれば、治療の成績はさらに向上します。

2015年(夏以降と予想されます)には、さらに治療成績のよいインターフェロンフリー治療(レジパスビル+ソホスブビル)も保険適応になる方向で研究はすすんでいます。2014年9月から始まったインターフェロンフリー治療を患者さんに勧めるか、2015年に始まる治療を待っていただくか、この点も患者さん一人一人に個別化した判断が必要です。

インターフェロン治療の時代も、その効果や副作用については専門的な知識が要求され、積極的に行なうことのできる医療機関は限られていました。インターフェロンフリー治療の時代が今年から始まったわけですが、全般的に副作用は少ないとはいえ、特殊な副作用についての知識や、ウイルスの遺伝子型と薬剤の選択についてなどの理解も重要で、やはり専門的な知識が必要になります。

薬の内服はご自宅でできることで通院を必要としません。しかし、インターフェロンフリーの治療の際には副作用のチェックの目的で当初週1回、のちに2週から4週に1回の採血を行なうことが安全であると判断しています。通院が困難な遠方の医療機関であったり、毎回の外来での対応に時間がかかりすぎる医療機関も困ります。

それぞれのお住まいの地域で、専門的な知識と受診のし易さを兼ね備えた医療機関をみつけられると良いと思います。